2015年1月21日水曜日

ひとすじの光がそこに見えるかもしれない

前回の投稿で、お酒を飲んで味や香りがどうということだけを楽しむというのではもったいないと書いたけれど、関連して、ボクがバーが好きな理由をひとつ。

多くのバーは空間を全体的には薄暗くして、ライティングを工夫することで空間を演出し、お酒を飲む雰囲気をつくり出している。小難しく考えることではないかもしれないし、認知心理学的にはどうか調べていないけれど、暗く余計なものが目に入ってこないことによって、人の五感は鋭敏になると思っている。暗い中で見えるもの、聞こえる音、手触りに対してより敏感になる。そして味覚と嗅覚も。そしてその環境、状態は思考にも影響するだろう。


もちろんレストランでもカフェでも空間を提供する飲食業では、多かれ少なかれそういう要素はあり、それぞれのお店で工夫をしているのだけれど、バーにおいては、触覚、視覚、聴覚という、飲食と直結する味覚・嗅覚以外の三要素の存在がくっきり際立って現れてくる感じがする。目の前の液体をゆらして、グラスの触感と屈折する光に目を凝らし、時には氷とグラスが当たる音、バーテンダーがお酒を作る音をも楽しみながら、何か考える。

このガージェリーに関して言えば、リュトン(角杯)を台座に置くときの、ガラスとガラスが触れ合う瞬間のちょっとした緊張感、台座に収まったリュトンをくるくる回してみたり、複雑に屈折・反射する台座の光に見とれたり、ビールを味覚・嗅覚で楽しむことだけではない魅力があり、だからそれがバーで活かされている。

バーで、光と、音と、触感を楽しんでみよう。

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