2016年10月29日土曜日

コクサイカのあり方

〝グローバル〟なんていうと大げさな感じがするので、少し古くて控えめな感じのする〝国際化〟という言葉にしておこうか。昨今はこの言葉から思い浮かぶ景色が変わってきたと思う。



自分が経験してきたビールに関わる仕事で言えばこんな感じ。

1990年代は、海外の商品の輸入が主流。アメリカやヨーロッパのビールブランドを日本で販売する。バドワイザーやハイネケン、ギネスなんかが代表格だろうか。その中でボクらは海外の会社から諸々勉強させてもらったりした。2000年代は海外の会社を買収して日本の会社が海外の事業のオーナーになった。ボクはオーストラリアの食品会社に出向したが、現地にいて日本側の対応がもどかしくてたまらなかった覚えがある。日本にいる日本人社員がいつまでも国境にこだわったような態度で、コトが遅々として進まなかったからだ。こういう状況は10年くらいかかって、やっと解消されてきたかもしれない。

そのうちにクールジャパンという言葉とともに、今度は日本の商品を文化とともに海外に売り込もうという気運が出てきた。僕は日本に戻り、日本のビールブランドを海外展開する仕事をもらった。2年ほど携わっていたが、日本人的にプライドを持って取り組める、やりがいのある役割だった。



それから少し経ってキリンビールを退社することを決めた時期だが、2014年11月にこのブログでこんなことを書いた。「世界に伝えたい日本のクラフトビール」というイベントに参加して、若い経営者たちの話を聞いての感想だ。

「イベントのタイトルはやや勇み足気味な感じはするものの、それぞれの会社が醸造や販売に関してそれぞれの形で海外とボーダレスにつながっていることが印象的だった。酒類、ビール類の消費量が減ってはいるものの、クラフトビールにとって日本の市場はまだまだ大きい。これまでの感覚なら、日本市場の開拓も途上の小規模な地ビール会社が海外市場にまで手を出すというのは拙速ということになるが、「日本より海外で売る方がやさしい」という言葉も出た。クールジャパンの追い風もあるだろうし、完成度の高い商品は外国でも十二分に魅力的。若い経営者にとって国境はハードルにならず、むしろビジネスチャンスと捉えている。」

クールジャパンと、世界的なクラフトビールブームの流れがあり、大手メーカーのブランドよりもチャンスがありそうだな、と思った。大きな設備投資をしてしまっているのが少し不安な会社もあるが、この流れはしばらく続くんだろうと思う。

さて、最初に言った、景色が変わってきたというのはここから。

日本の商品を海外に売り込むのではなく、日本にある商品・サービスを日本にあるがままに日本で楽しんでもらう、ということが一気に注目を浴びるようになった。わざわざここで書くまでもない様々な事象が起こっている。東京オリンピックの後押しも大きい。海外からの観光客が日本で時間、空間、文化を楽しんでいる。爆買いの中国人もモノより体験を楽しむ人が増えてきているようだ。



日本の飲食店でしか展開していないガージェリーはこれまで国際化という言葉は全く縁遠いと思っていた。キリンビールで海外事業に携わってきた自分だから、当然ガージェリーの海外展開というのは頭に浮かぶわけだが、この際立った商品コンセプトを守りつつっていうのは相当難しい話だし、コンセプトを妥協して海外展開しても意味はないと思っている。そもそも、正直なところ、そういう余裕は毛頭ない。そんな中、日本のガージェリー取扱店に外国人観光客が訪れて、「いったいこのビールはどこのビールだ?すごく美味しい!クールなグラスだ!」と驚いているという話が入って来るようになった。

そうそう、これでいいんだろうな、と思っている。日本の外食をもっと魅力的にしよう。日本に来た外国人をびっくりさせよう。ガージェリーは日本の飲食店でしか飲めないスーパークールなビールってことでいいじゃないか。輸出なんてせんでも良い。日本には愛すべき飲食店がたくさんあって、まだまだボクらはやるべきことが山ほどある。

そう思っている次第。



2016年10月2日日曜日

幸か不幸か花粉か風邪か

木曜日の午後から鼻水がぽたぽた出始め、飲みながら手拭いで拭き拭き。金曜日になると喉が痛み頭がだる重い。でも熱が無いのでこれはきっと秋の花粉症だと。今まではスギ花粉だけだったけれど、いよいよブタ草あたりが来たかと思い、行きつけの耳鼻科へ。



先生に上記症状を話し喉を診ていただくと、あっさり「こりゃ風邪だわ。」

さらに「飲むと悪化します。」と、何かを察したのか釘を刺された。でも、飲むのが仕事をなんで、ってちょっと反抗してみると「どこの会社?」と乗ってくるので、「ガージェリー」って正直に答えました。先生はそのままパソコンでググってガージェリーホームページへ。患者さんがほとんどいなかったからかノリノリで食いついてくださり、しばしビール談義。先生はドイツビール、特に小麦系が好きなんだそうだ。

今度飲みに行ってみるよと、嬉しそうに薬を処方してくれました。

その晩から発熱。やっぱり風邪だった。今後毎シーズン患う花粉症よりはましかな。