2015年5月26日火曜日

新しいストーリーの前に

さて、今、ボクが何をやっているかと言うと、7年半のブランクを埋めることだ。確かに僕はこの7年半の間もガージェリーをよく飲んでいたし、社長をはじめとする関係者と多少の交流はあった。でも主体としてはブランクと言うよりなく、その間に、どんな人たちとどんなストーリーがあったのかを知らなければ、次を語る資格はない。なぜならブランドは、一旦世に出た以上、もはや生み出した人間だけのものではなく、顧客のものでもあるからだ。

ましてや、ボクが離れて以降、大きな変化が2つあった。

ひとつは、瓶のガージェリーが生まれたこと。もともとガージェリーは樽だけのビールとしてスタートさせた。詳しくは別の機会に譲るが、瓶内熟成/Bottle Conditionedというコンセプトを得てガージェリーはさらに懐の深いブランドになった。


もうひとつは、展開範囲が東京都内から全国へ広がった。瓶の発売によるものが大きいが、ガージェリーはフットワークを得て、こういう商品に興味を持つ可能性の高い、バーテンダー、ソムリエ、利酒師といったお酒のプロがいるお店を中心に全国へ広がり始めたこと。


これらの変化について、頭では理解できる。ビールを飲むこともできる。

けれども、ガージェリーが飲食店限定であるがゆえ、さらには、お店との関係性を大切にするブランドであり事業であるからこそ、それだけでは全く十分でない。これまでの間に個々のお店とどんなストーリーを共有してきたか、それが一番重要なことだ。

だから、ボクのブランクを埋める作業というのは、人に会うこと。そして、語り合ってお互いのストーリーを共有すること。


そうしている中で、自分が持っている想いと、お店の人や、お店で会ったお客さんたちが持っている想いが絡み合い影響し合って、大きなうねりのようなものができてくる。


そこから、次のストーリーを始めたい。





2015年5月14日木曜日

ブルーなストーリーを聞かせてくれ

嗜好品がマス商品に席巻されるようになると、次は造り手の原点に立ち返るような動きが起こる。これは多くの業界で繰り返し起こっていることなのだろうけれど、大抵は同じ状態に戻るのではなく、その時代を反映したものに更新される。クラフトビールもそうだが、コーヒー業界も多くの雑誌で特集が組まれるなど、大きく動いているように見える。

目黒のSWITCH COFFEE TOKYOは、僕がメルボルンにいた時に知り合った大学OB仲間の大西さんが立ち上げたコーヒーショップ。世界の生産者から直接買い付けた高品質なコーヒー豆をそこでローストし挽いて販売。そんなお店が住宅地の真ん中にある。

ややもすれば清澄白河のあのお店の流れだなんて思ってしまうかもしれないが、大西さんは、若くしてバリスタの最先端を走りラテアートのチャンピオンにもなった後、コーヒー先進国オーストラリアに渡りカフェの現場で勉強して、日本に戻って自分の想いを形にした。

〝サードウェイブ〟などと簡単に一括りにして理解してはいけないと思う。

彼のストーリーとともに、果汁のように爽やかなコーヒーを味わいたい。
>> http://www.switchcoffeetokyo.com/


そういえば、ビールの醸造もBREWだが、コーヒーや紅茶をいれるのもBREW。

BREWな人生は楽しいな。

2015年5月6日水曜日

大切なことを思い出す

ビアスタイル21社に復帰してからほぼ1ケ月が経過。訳あって直近まで転職先のことをあまり大っぴらには言っていなかったので、4月に入ってからfacebookなどでボクの新しい職場を知ったという人は少なくなかった。

学生時代の友人も例外ではないが、面白いのは、あまり驚かない。というのも、2002年から2007年の間にボクがいかにガージェリーに対して入れ込んでいたかを知っている人が多いから。

これに対して前職の会社の人は比較的驚く人が多かったと思う。というのも、ひとつは、なぜ大企業からわざわざそんな小さな会社へということもあるだろうが、それ以上に、ガージェリーをもはや過去のこととして忘れつつあった人が多いからだろうと感じた。僕自身も資本関係のなくなったガージェリーに対する愛情を、前職の社内で大ぴらに語ることは憚られたということもある。


そんな中、先日、大学時代の友人たちと飲みに行く機会があった。1軒目の居酒屋を出た後、当然話し足りず次はどこへするかということになり、じゃあ、ガージェリーの飲めるところへ行こうと、誰からとなくボクの背中を押してくれる。じゃあ、こっち行こうかと、自分も実は待ってましたとばかり、グループを誘導。客引きのお兄さん方には目もくれずあるバーへ進んでいく。

いつものことだが、そのバーの奥の個室が貸し切り状態となり、みんなくつろぐ。何を飲もうかという時、誰からとなく、「じゃ、俺ガージェリー」、そして「俺も」、「私も」と続き、結局というか、当然と言う方が適当な雰囲気で、全員がガージェリーを注文。

「うまいじゃないか」「これは富裕層に受けるな〜」などと好き勝手に言われながらも、自分としてもまんざらではない。そして、12年前にガージェリーを立ち上げた時も、多くの友人がこうしてコンセプトショップや取扱店に足を運んでくれたことを思い出した。

本当にありがたいと思う。

生かされていると思う。