2015年7月13日月曜日

北の街で聞いたストーリー

東京から数百キロ北の、ある街でのお話。

そのバーテンダーは数年前に東京のバーで働いていたときに、そこでサーヴしていた特別なビールを思い出した。今勤めているバーのオーナーと、何か目新しいものはないかと話していたときだ。「ガージェリー」っていうビールがあるとオーナーに話した。ただ、東京を中心に展開していたはずだから、この街で販売できるかはわからない。

そんなある日、彼が街を歩いていると、昔見慣れたものが目に付いた。宅配便の車に積んである荷物の一つ。それはビール樽だった。

なんと、ガージェリーの樽。

びっくりした。まさかここでガージェリーの樽を見るなんて。

いったいどのお店で売っているんだと思い、宅配便の車を追いかけた。

ほどなく宅配便が停まったのは、ある新しいレストランの脇。

それをオーナーに伝え、早速そのレストランへガージェリーを飲みに行く。そこにあったのは、ガージェリー・スタウトとガージェリー・エステラのタワー。この街にガージェリーの樽を2種類とも扱っているお店があったなんて!

そしてもうひとつの驚きは、レストランの主人は、オーナーと中学時代の同級生だったこと。レストランのカウンターで、オーナーと並び、一緒にガージェリーを飲む。



うまい!

オーナーは、レストランの主人に仁義を切った。自分のお店でもガージェリーを扱って良いかと。

もちろん、問題があろうはずがない。


一方、レストランの主人も数年前までは、東京のダイニングバーに勤めていた。そこでガージェリーを扱っており、自分が故郷に帰りお店を持ったときには、このビールを提供したいと思っていた。それを実現させたのだ。

そしてガージェリーの樽が、自分のお店にガージェリーを愛するバーテンダーと旧友を引き寄せた。


間もなくバーではガージェリーの瓶がサーヴされることになった。

オーナーとバーテンダーはちょくちょくレストランに寄っては、「やっぱり樽はいいなぁ」などと言いながら美味しそうに飲んでいるそう。


このボクはと言えば、出張先で、ガージェリーを飲みながら、このレストランのご夫妻から話を聞き、その後にバーのオーナーからもガージェリーを飲みながら話を聞いた。すごくいい男だなと見惚れながら。


そして、東京に帰り、少し想像も交えながら二つの話を繋げて、こうしてこの文章を書いている。

愛されるというのは、本当にしあわせなことだ。

な、ガージェリー。

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