2015年10月27日火曜日

撮りたいものはビールではない

大手メーカーにいた時、商品の写真を撮るのに相当の労力をかけているのを見てきた。特に、グラスやジョッキに注がれたビールの写真は、いかに泡を綺麗に見せるか、きめ細かい泡になっているか、ビールと泡の割合は適当か、グラスに何かが映り込んでいないか、などについて高度な技を駆使する達人カメラマンが撮影する。最近はデジタルカメラになり、画像の後処理ができるようになったので、ずいぶん楽になったのかもしれないが。

ガージェリーをやっている今、プロのカメラマンにお願いして撮影する予算的余裕はないし、飲食店限定というビールである以上、様々なお店で写真を撮る必要があり、ブログなんかで使う写真は営業で訪問する度に撮りだめていかなければ間に合わないから、自分がカメラマンになるしかない。

お店では、営業中に飲みながら撮らせてもらうことがほとんどなので、様々な制約がある。自分が座る席から店内はどう見えるか、光の状況はどうか、他のお客様がどこに座っているか、ビールの状態はどうかなど、まずパーフェクトな環境は望めない。

だけど、だからこそ、撮れる何かがあると思っている。


お客さんを入れて営業をしているお店のその時間、その空間にしかないものがあるように思う。

また、被写体が綺麗に整ったものでないからこそ、何かが伝わるということもある。

台座に置いたリュトンが真っ直ぐに立たず微妙に傾いていたり、ビールの泡が不均一だったり、泡が消えてきたので、一口ふた口飲んでしまい、飲みかけを敢えて撮ることもよくある。

実は、飲みかけの写真の方が好きだ。



時間を感じ、空間を感じ、ストーリーを感じる。

そんな写真を撮る。撮りたい。撮れれば。


しかし、ガージェリーほどの被写体はなかなか無いね。

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